肉を焼いたとき、外はしっかり焼けているのに内側がまだ火が通っていなかったり、思ったような柔らかさが出せなかった経験はありませんか?こうした調理の悩みを解決してくれるのが、最近注目を集めている「低温調理」です。
「低温調理ってどうやるの?」や「低温調理器ってなに?」「使い方は?」と疑問に感じる方も多いかもしれませんが、実は低温調理はとても簡単。低温調理器を使うと、食材に最適な温度でじっくり火が通り、内側まで均一に加熱されるため、失敗が少なく、驚くほどの柔らかさとジューシーさが実現できます。私も6年前に初めて低温調理器を購入し、その便利さと仕上がりに驚き、今では手放せない存在になりました。
この記事では、低温調理器の選び方から使い方のポイント、効果的な活用法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。低温調理をマスターして、料理の質を一段と向上させてみませんか?
1. 低温調理とは
低温調理とは、食材を真空状態にして、60~90℃前後の低温でじっくり加熱する調理法です。1970年代にフランスでフォアグラのテリーヌの調理のために開発され、煮る・焼く・蒸すに次ぐ「第四の調理法」ともよばれています。
低温調理器で行う場合は、熱伝導率の高い「お湯」を使用します。低温調理器で使用するお湯は非常に高い熱伝導率を持ち、繊細で厳密な温度管理が可能。食材を一定の低温度帯で360°から均一に加熱するため、調理ムラがなく、フライパンなどの調理でよくあるような、外側が焦げて中心部が生のままになることや、肉汁が流出してジューシーさが失われることがありません。また、調理中に様子を見る必要がないのも大きな利点です。
2. 低温調理器の選び方ガイド
低温調理器の相場は7000円~5万円程度です。ただし、安価な製品を選ぶと、温度センサーやタイマーが正確に機能しない、タッチパネルやボタンが反応しないといったトラブルが口コミで多く報告されています。価格だけでなく、機能面でも十分な低温調理器を選ぶために、購入前にチェックすべきポイントをご紹介します。
低温調理器の選び方のポイントは3つ
- 設定できる温度と時間で選ぶ
低温調理器は、商品によって設定できる温度や時間が異なりますが、初心者の方には、温度が0.5℃~1℃単位で調整でき、加熱時間も1分刻みで99時間59分まで設定可能なモデルを選ぶことをおすすめします。
- 出力数で選ぶ
低温調理器は、800W~1000W程度の出力を持つものが主流です。一般家庭では800Wで十分とされていますが、大きな塊肉を調理する際や、機能の安定性や温度のキープ力を重視する場合には、1000W程度の出力があるほうが安心です。購入時には、出力数を確認して選ぶことをおすすめします。
【楽天市場】フェリオ スーヴィードクッキング F20403 CSC0701【SALE】[関連:富士商 家庭用 調理器具 低温調理器 ローストビーフ サラダチキン] : くるちかも culticamo
- 取り付け方式で選ぶ
低温調理器を鍋に取り付ける際には、「クリップ式」と「ネジ締めタイプ」の2つがあります。クリップ式は鍋のふちに挟むだけで簡単に固定できますが、鍋が厚い場合には合わないこともあります。一方、ネジ締めタイプはしっかりと固定でき、さまざまな厚みの鍋に対応できますが、取り付けに少し手間がかかります。使用頻度や使い勝手を考慮して、購入前にどちらが適しているかをチェックしておくことをおすすめします。
ネジ締めタイプ
クリップ式
3. 低温調理器の基本的な使い方と操作方法
メーカーや機種によって操作方法は異なりますが、基本的な低温調理器の使い方は以下の通りです。
STEP 1: 深めの鍋やコンテナに水を張り、低温調理器をセットします。調理したい料理に適した温度に設定し、調理スタート。
STEP 2: 調理したい食材と調味料を耐熱保存袋に入れ、真空状態にします。
STEP 3: STEP1が 設定温度に達したら、食材入りの袋を鍋に入れて調理を開始します。
STEP 4: 調理時間が終了したら、保存袋を取り出し、盛り付ければ完成。
4. 設定方法とコツ:低温調理を成功させるポイント
低温調理をうまくいかせるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
- 清潔な環境で調理を行う
清潔な手で作業し、まな板や包丁、保存袋などの道具も清潔に保ちましょう。食中毒菌の拡散を防ぎ、発症リスクを減らすために、生肉や生魚に触れたら必ず手を洗ってください。 - 新鮮な食材を使用する
雑菌の繁殖を防ぐために、低温調理には新鮮な食材を使用することが重要です。 - 設定温度と時間を厳守する
低温調理器の説明書に記載された設定温度や時間をしっかり守りましょう。厚生労働省によれば、生の食肉は「中心部が75℃で1分間以上、またはそれと同等以上の温度で加熱すること」が推奨されています。
これは「食材全体が75℃に達し、その温度を1分間以上キープする必要がある」という意味です。
※「75℃のお湯で1分間加熱する」という意味ではないので注意が必要。
ちなみに、「75℃で1分」という条件は、中心部で「70℃で3分」「69℃で4分」「68℃で5分」「67℃で8分」「66℃で11分」「65℃で15分」と同等です。 - 正しい方法で加熱を行う
食材によっては、お湯の中で浮いてしまうことがあります。そのため、食材を真空パックにした袋は、お湯の中に完全に沈めるようにしてください。また、容器に食材の袋を詰め込みすぎると、均一に加熱されなくなる可能性があるため、適度な余裕を持たせて調理することが大切です。
- 調理後、保存する場合は急冷する
低温調理食品は長時間加熱されるため、その過程で細菌が繁殖するリスクが高まる可能性があります。調理後の食材を常温で長時間(30分以上)放置すると、食中毒のリスクが高まります。調理後すぐに食べないときは、氷水で急冷したあとに冷蔵庫で保存してください。
5. 低温調理器を効果的に活用する方法
低温調理器を使ってさらに美味しい料理を作るためには、基本的な使い方に加え、応用的なテクニックを取り入れることが重要です。以下の方法を活用して、料理の完成度をさらに高めましょう。
- 複数の食材を同時に調理する
低温調理器は、同じ温度で複数の食材を同時に調理することが可能です。同じ温度帯で調理できる食材を別々の袋に入れて調理すれば、メインディッシュとサイドディッシュを一度に作ることができます。これにより、調理時間を効率的に活用でき、手間を大幅に減らすことができます。 - 低温調理を他の調理法と組み合わせる
低温調理で食材にしっかり火を通した後、フライパンやグリルで表面に焼き色をつけることで、香ばしい風味を加えることができます。この「ハイブリッド調理法」によって、外はカリッと中はジューシーな食感を楽しめます。 - 下味づけ
低温調理では、長時間の加熱によって食材に味が染み込みやすくなります。調理前にしっかりと下味をつけることで、風味豊かな料理に仕上がります。 - 低温調理を使った保存食の作り方
低温調理器で作った料理は、冷蔵保存しても味が落ちにくいのが特徴です。例えば、鶏胸肉やローストビーフを多めに作っておき、冷蔵庫で保存しておけば、忙しい日でも手軽に美味しい料理が楽しめます。 - スイーツやデザートへの応用
低温調理は、肉や魚だけでなく、スイーツやデザートの調理にも応用できます。
6. まとめ:低温調理器を最大限に活用するために
・低温調理とは
食材を真空状態にし、低温でじっくり加熱する調理法。ムラが少なく、特に肉料理で柔らかくジューシーに仕上がる。
・低温調理器の選び方
温度と時間の細かい設定ができるモデルを選ぶ。出力は800W〜1000Wが適切で、取り付け方式はクリップ式かネジ締め式がある。
・基本的な使い方
水を張った鍋に調理器をセットし、食材を真空袋に入れて加熱。調理後は取り出して盛り付けるだけ。
・成功のコツ
新鮮な食材を使い、温度と時間を厳守。調理後は急冷して保存する。
・効果的な活用法
複数の食材を同時に調理したり、仕上げに焼き色をつける。保存食やスイーツ作りにも応用可能。
この記事では、低温調理や低温調理器の選び方、そしてその効果的な活用方法について、押さえておくべきポイントをお伝えしました。
私自身、低温調理器を使い続ける中で、料理の幅が大きく広がり、仕上がりがいつも期待通りになることに非常に満足しています。調理の手間を大幅に省けるだけでなく、食材の自然な美味しさをより感じられる点も嬉しいところです。低温調理が日々の料理をより楽しいものにしてくれると実感しています。ぜひ一度試していただき、低温調理の素晴らしさを実感していただければ幸いです。
コメント